3歳になったばかりの息子を連れて
はじめて保育園の見学に行った。
「3歳になるまではお家で」と
僕たち夫婦の考えていたことが満期を迎え、
元々小さなおばあちゃんが一人で暮らしていたという
我が家のサイズが、この男の子にはもう小さくなってきた、そんな
タイミングが重なってのこと。
園の説明、というよりは哲学や方向性を
ホクホクの焼き芋のように熱く熱く語ってくれた
副園長(その時点でもうここに決めた、と妻も感じていた)と
こんな話をした。
運動会のムードがとにかくあったかいと。
それに対してふと僕は
「競争させて1番を決めるっていうのもなんだかですね」
流れで言った一言だったが、
「そうですね」と認めつつも
「もちろん(競争が)必要な場合もあるんですけどね」
とビシッと答えた副園長の眼差しが頼もしかった。
そこに人として関わり合いながら暮らす大
切なものも含まれていることが伺えた。そうだと思う。
大切なのは一番を決めること、一番になることではなく
お互いを高め合って認め合うことなのだろう。
讃え合うことなのだろう。
帰りしなに、園児たちが芋掘り体験でとってきてくれた
さつまいもをたくさん詰めてお裾分けいただいた。
数日後、焚き火がてら焼き芋をした。
曇天だったが、芋を割った瞬間に天日が差し込む。
黄金の蜜とゆっくりと舞い上がるホクホクの湯気に、
その繊細に輝く粒子に、
妻は今年一番の歓声をあげた。そして自分史上一番うまい焼き芋だった。
皮までいただいた。
美しい瞬間、未来も見えた、そんな冬の日。
暖かくして、ゆっくりご覧くださいね。
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