森分福(Mori Bunpuku)
2024年10月1日リリース「おもいの軸足」より
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昨年の年の暮れだったか
5つ上の実兄である”じゆん”から
自身の歌い上げたミュージックビデオを制作してほしいと
話があった。
当時まだデモだった音源は、かのローザルクセンブルグを思わせ、
いかにも兄好みな文学的な情緒の漂う歌詞がひしめく
近頃ではあまり耳にしない珍曲だったのだが、
それに合わせて僕はスケボーをする画をイメージしている、と
自宅前でスケボーの練習をする兄のビデオが送られてきた。
ストリートのスケーターのソレ、ではなく、
ただ直立して”乗っていれる”だけの滑りだったのがやけに愛おしい。
兄はそういうやつだ。
いつからか、そういう、可愛さが見えてきたんだ。
5つ上だけど。
コレは美味しい香りがする。
僕は僕で音源を聴き込んでイメージを盛り上げていく
日々を重ね、仕掛け人、というか
この楽曲の作詞作曲、演奏、アレンジに至る全てを手がけた
人物、森分福(もりぶんぷく)氏とオンラインで初対面。
分福氏は兄じゆんの大学時代の音楽サークルの先輩で、
此度、氏のアルバム制作に伴い、二十年ぶりに兄を熊本に招聘して
レコーディングを敢行、晴れて「軸足-sung by じゆん」という
楽曲が誕生し、「おもいの軸足」という
アルバムのタイトル楽曲であるため
ミュージックビデオの制作を考えているという。
兄のミュージックビデオを撮る日が来るとは。
至極光栄だったし、気合いも入った。
だので、
何者かわからなかった分福さんの内側に
土足で、ズカズカと入っていった。
おそらくノックもしていない。
その時はまだ、じゆんを、
“守ろう”としていたのかもしれない。
失礼もおそらくたくさんした。
だけどその度に、分福さんは丁寧に丁寧に
優しく打ち返してくれていた。
ボール球をも無理やり跳ねて
打ち返してくれていた。
素手でもキャッチできるくらいの、柔らかい球。
でもその球はいつも燃えていて
青く、静かだが決して消えなかった。
それが芯てやつなんだなと感じたから
氏のイメージにできるだけ沿うことに決めた。
毎日グループラインがチンチンと忙しかったに
違いないが、僕はそういうプロセスが大好きだ。
口数は少ないが、ここぞ、というタイミングでは
兄の じゆんがキメていく。
ベースは分福。
僕は気まぐれな乱投手。
まるでバンドだ。
3人のハーモニー。
分福さん、ご縁をありがとうございます。
アルバム全楽曲通して
クラシックオーケストラ仕込みの変調お化け。
聞いたことのないメロディ展開、稀有です。
僕はコレからもあなたに投げ続けたい。
尊敬しています。
じゆん兄、やはりボーカルスイッチ入ったら
爆発力半端ないよ、このあたりじゃ比べもんにならんくらい
フォトジェニックな人です。
そのままでいてね。
分福さんの音楽と、じゆんの主演で
映画を撮りたい。