くじらは満月の夜に光る
音楽:yan / Teruyuki Kurihara – COME CLOSER –
詩・脚本:山下冗談
映像:脇村映像
旅ノ途中
というイベントに向けて1本の上映作品を制作することになるのだが、
それは2018年の3月11日に予定されていた。
2011年のその日を境に、脳みその構造、今まで信じてきたもの、惰性のかたち、怒りの対象、
とにかくまったく総てが新しく生まれ変わったのを 未だに肌感覚として鮮明に残っている。
特に、出会いも増えた。それも直接センスに届く刺激的な出会いな。
その中の一人が 詩人・山下冗談という男だった。
変化の無いまなざしで見れば ただの偏屈ヤローだが
愛を軸にユーモラスな呪文を唱え続ける最先端の詩人だ。
近頃は、詩に最も近い表現方法として映像制作にも精力的な山下氏。
僕にとって3月11日って先にも述べたが、総てが生まれ変わった
特別な日であり、だから新しいことをを新しいかたちで、しかも
自分以外の誰かと表現する必要があったのな。
それで彼に声をかけた、合作しないかと。
じゃあ俺は詩をかくわ。
ちょうど、山下家は2人目のお子のお産前で非常にデリケートな時期でもあったが
命からがら、彼は言葉に、詩にしてくれた作品が
くじらは満月の夜に光る
難しいタイミングだったが奴はやり遂げたんだな。
普遍的なテーマの中に、ちゃんと生がありました。
尊敬に値する作品です。
結局、3月11日に予定されていたイベントは延期となった。
そして、今度は5月に山下氏の暮らす地域の仲間がやっている
美容室をお祝いする企画があるから映画祭やろうよ、と。
そこが上映タイミングだった。
さぁ、詩の世界から生まれた映像の制作も架橋。
いつもここで、映像における音楽の重要性に気づかされるのだが
今回は話しが早かった。
そのちょっと前に 映像作家の安田潤司監督から
友達の栗原が新曲出すから お前ミュージックビデオやってみないか
お前が合うとおもうんだよ
と、栗原さんの楽曲を送ってくれていたのでした。
2曲あったうちの COME CLOSER という楽曲。
僕こっちやらせてもらっていいですか?
自由です、とにかく自由です!
暗黒ニラ以外に、こいいう心のよりどころ、拝聴中の魂の置き方が
すんなりできる音楽家はなかったが
栗原さんの楽曲には はじめから安心してすんなりいくことができたのな。
衝撃的、ではなくてもっと僕にとって普遍的で安堵に近い感覚。
こうして合作 くじらは満月の夜に光る は生まれたわけです。
結びに 山下冗談、栗原さんに感謝を込めて。
寝る以外の一日の全てを終わらせて、お部屋の温度は快適に、
薄暗くしてご覧下さい。
脇村映像